活動報告 第58回?「独楽林」
● 今日の活動は間伐でした。皆さん掛り木でご苦労されていました。傾斜地の檜線香林約20本の伐採で、あたしはロープで七転八倒でした。なのにこんなダジャレ歌を作ってしまいました。活動報告を書けとの「森と毬と」氏の白寿の湯での御達し。お怒りの形相目に浮かぶ。入浴後、籠原駅まで「水戸の浪人」にお送りいただき、携帯を見ると娘からメール。大学合格の知らせでした。車中顰蹙ものですが、一人祝杯をあげました。私事です。
幕末の歌人、橘曙覧(たちばなあけみ)は福井の人で、たのしみはで始まる「独楽吟」五十二首が有名です。そういえば、林業家鋸谷茂さんも確か福井県の出身でしたね。その52首をなぞってみました。ロープのようにこんがらがっております。(N川)
たのしみはきづきの森に焚火してそろいて珈琲を啜るとき
たのしみは鬼石のもとにうち集る縁もゆかりも知らで伐りし時
たのしみは珍しき森人に伐り始め釣り竿ひろげたる時
たのしみは竿をひろげてとる木々の思ひの外に密度濃き時
たのしみは月に間引けど成らぬ森ふとおもしろく出きぬる時
たのしみは遠路はるばるうちつどひ鋸谷ならいて木を伐る時
たのしみは森とかゝせて良き文の年甲斐もなく毬と戯れし時
たのしみは森暖かにうち揃い選挙の人も出でたりし時
たのしみは朝おきいでゝ眠いけど伐りしを木々間引く見る時
たのしみは月日にくたびれ石窯を思ひつゞけて煉瓦積むとき
たのしみは意にかなふ間伐のあたりしづかに見てありくとき
たのしみは尋常ならぬボランティアかかげおろしつゝ森見てゆく時
たのしみは常に見なれぬ猪口山人林縁分らぬ森知らぬとき
たのしみは線香林に隙間でき今ひと山はよしといふとき
たのしみは鬼石人に稀にあひて古しへ伊香保語りあふとき
たのしみは夢追いありく馬飼いがきづきの森に馬引きまわす時
たのしみはまれに木伐りて老い等皆受け口切り口といひて伐る時
たのしみはそゞろ伐りゆく森中に我とひとしき人をみし時
たのしみは枝ふる余り杉枝の枝座残して伐りて枝間引く時
たのしみは森見ず木を見る声がする昼御飯だよ声聞こえし時
たのしみは昼飯(ひる)食いだして箸休め庭にありし蜜柑くれし時
たのしみは受け入れられし“鋸谷式”我ら魁(さきがけ)さとり得し時
たのしみは煉瓦積みおきておきし火の紅くなりきて湯の煮る時
たのしみは心をひとつに友として伐りかかりて玉伐りするとき
たのしみはうたた寝せしまに来し方を語りつくしたる伊香保にし時
たのしみは昼寝うたた寝目が覚める唸るロゴソールの音ある時
たのしみは湯わかし/\杉の枝中にくべ置て森をかたる時
たのしみは作業しまゝに薪集め茶飲め物を食ふといふ時
たのしみは森人来たる折しもあれ薬缶に湯のチリチリ沸く時
たのしみは林内十把一からげ花粉症ひどくありません時
たのしみは煉瓦積みたてゝ新しきかまどをきづき薪をくべし時
たのしみは山林の植生すく/\と大きくなれる姿みる時
たのしみは名を問ひくれば事もなく“チト見“なくても草木あてる時
たのしみは誰もが“水戸める”器用者掛かり木わざで玉に伐る時
たのしみはたのむをよびてかかり木を綱もて引きて倒せし時
たのしみは大事に育てて大きなる径木一つ売りとばし時
たのしみはつねに好める香の物毎度頂き食せけるとき
たのしみはコンビニ飯の冷たるを仕事の褒美とくらいつく時
たのしみは与野なる人の来たりしが長くもをらでかへりけるとき
たのしみはたぎしに行しわらは等がカレーとりて帰りくる時
たのしみは隔週毎にうち集いなほみが山の森入たるとき
たのしみはわれらが伐するかたはらに草木の育ち眺めをる時
たのしみは好き研ぎをえてチェーンソーに切れ味いかにと試るとき
たのしみは森にうゑたるブルーベリー実さかりにあへる時々
たのしみはお叱り受けし森ブログ心かたむけて書き込みたるとき
たのしみは冬の桜の民として鋸谷の教をふかくおもふとき
たのしみは外材よろこぶ世の中に国産忘れぬ人を見るとき
たのしみはKJYT後生れその御諭をうくる思ふ時
たのしみは数ある杉を疎らしてうつしき森できて見るとき
たのしみはきづきで幕営楽しかれ風呂なけねどもやどりける時
たのしみは野山のさとに人遇て森を見しりてあるじするとき
たのしみはふと見てほしくおもふ森かつては荒れし手をいれしとき